最近の格闘ゲームで採用しているロールバック方式について詳しく知っていますか?
ロールバック方式とは格闘ゲームではネット回線の遅延がある程度あっても対戦を楽しめる仕組みです。
スト5やギルティギアストライブなど最近の格闘ゲームに取り入れられ、素晴らしいネット対戦を提供してくれています。
今回の解説でロールバックの解説を通じてあなたのネット対戦のネガティブなイメージを払拭してもらえると嬉しいです。
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これまでラグ処理のディレイ方式について
格闘ゲームのネット対戦はネット回線の遅延への対策が必須です。
何の対策もしない場合、自分と相手の画面は一致しなくなりゲームは破綻します。
図にすると下のようになります。
自分の入力に対して自分の画面は反応して動きますが、相手の画面上では動いていません。
相手と自分は同じ画面となっておらずゲームとして破綻しています。このネットワークの遅延の問題に対してこれまではディレイ方式で対処してきました。
ディレイ方式ではネットワークでの情報伝達の遅延を考慮して入力に対してあえて画面を遅らせる方式です。こうすることで相手の画面と自分の画面の表示を同じにすることができます。
図にすると下のようになります。
どれくらい入力に対して画面を遅らせるかは、相手との回線の状況によって変わってきます。
ネット回線の遅延が大きいほど画面を遅らせます。
遅延による影響がオフライン対戦に比べて1~3Fまでの画面の遅れは大きな違和感を感じません。
ただし遅延がひどくなり4F以上遅れると操作感に非常に違和感を感じます。
経験した人はわかると思いますが、まるで水中の中でキャラクターを動かしているような感覚です。
著者の経験でいうとインターネット対戦が出始めた90年代後半はひどい状態。電話回線を使った対戦で最も早くて10F程度のディレイがあり、もはや別のゲームです。
ディレイ方式の問題点
ディレイ方式でも1-3Fまででは大きな違和感がなく対戦ができます。
特に国内で優良な光回線を使っている場合はそういった環境は実現しやすいです。
ただし、万人がそういう環境にいるわけではないです。
例えば対戦人口が少ない国では国をまたいで対戦する必要が出てきて距離が遠くなることから回線遅延は避けがたいです。
また、1-3Fの遅延であっても違和感を感じないだけで1Fの精度を求められるコンボなどは画面が遅れると非常に難しくなります。
実例をあげるとストリートファイター4がそうでした。
ネット対戦がかなり盛り上がっていましたが、1Fのズレも許されない目押しを求められて上級プレーヤーはそれを補うテクニックの習得を強制されていました。
そういったディレイ方式の問題を解決するのがロールバック方式です。
ロールバック方式とは
ロールバック方式では自分の入力が相手に届いたときにキャラの中間動作を省略して表示して相手と自分の画面を同期させます。
例えば自分の入力が相手に2F遅れて届くとすると相手の画面でキャラクターは始めの2Fを飛ばして動き始めます。
図解にすると下のようになります。
相手の画面で自分のキャラの動作を飛ばすことで、自分の画面を遅らせることなく相手の画面と同期することができます。相手の画面でのキャラクターの動きも少しのフレームなら不自然にはなりません。
入力に対して画面表示が送れないので、コンボの入力タイミンが取りやすくなるメリットもあります。また、ディレイ方式とくらべて遅延が多少大きくなっても比較して操作の違和感が感じづらいです。
遅延があまりにひどくなってくるとキャラクターがワープしたような挙動をしてやはりゲームが破綻します。また、相手の画面に自分の入力が到達するまで、相手の画面での自キャラの入力を仮で入力しておく必要があり、そのためディレイ方式よりプログラムが難しくなるようです。
ディレイ方式との比較をまとめると表のようになります。
ロールバック式 | ディレイ式 | |
同期の方法 | 遅延を隠蔽するように画面を表示する | 入力に対して表示が遅くなる |
メリット | 遅延による違和感を感じづらい | 実装が比較的簡単 |
デメリット | プログラムが難しい | 少しの遅延で操作に違和感が出る コンボが難しい |
ラグが大きいときにどうなるか | ワープするように見える | 水中のキャラを動かすよう |
ロールバックが用いられたゲームについて
ここからは実際にロールバック方式が用いられているゲームについて紹介します。
ストリートファイターV
2016年に発売されたストリートファイターVはロールバック方式をポピュラーな格闘ゲームでは初めて採用されました。
あまり世間的には注目されていませんでしたが、個人的にはネット対戦の進化を感じていました。
Guilty Gear Strive
ギルティーギアストライブは2021年似発売された格闘ゲームでロールバック方式を採用することが話題となりました。
実際の対戦感覚も全くネット対戦であることを感じないくらいの素晴らしい出来だと思います。
ストリートファイター6
2023年6月発売予定のストリートファイター6でもロールバック方式のネット対戦を採用します。
スト5でも採用されていましたが、より洗練されたものになる予定です。
ロールバック方式のデメリット
ロールバック方式にもデメリットがあります。
相手のレバーの操作を数フレーム先まで予測して入力されるため、一見攻撃がヒットしていたように見えても実際はヒットしていない場合があります。
そのため、ディレイ方式ではなかったヒット確認ミスなどが発生します。
まとめ
ロールバック方式はネット対戦においてネットワークの遅延に対して有効な方式です。実際、ギルティーギアストライブでは素晴らしいネット対戦を提供してくれています。
ある程度のスペックのネット回線があったほうが良いのは事実なので環境を整えたい人は下記の記事を参考にしてください。
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ロールバックについて更に知りたい人はYoutubeで解説動画がおすすめです。日本語字幕付きなので英語がわからなくても問題ありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をきっかけにネット対戦ライフを楽しんで貰えると嬉しいです。